小さなお顔に、やさしい表情。色とりどりのお衣装。
雛人形を見ていると、まず目に入るのはその「かわいらしさ」かもしれません。けれど、よく見てみると、小さなお人形の中には職人による細やかな手仕事がたくさん詰まっています。
お顔をつくる人、髪を結う人、衣装を仕立てる人――。
一体のお雛さまが完成するまでには、さまざまな職人の技が引き継がれています。今回は、普段はなかなか見ることのできない「雛人形の職人のてしごと」をご紹介します。

お顔について
雛人形のお顔は、一つひとつ職人の手から

雛人形の印象を大きく左右する「お顔」。
ふらここの雛人形は、一つひとつ職人の手によって仕上げられています。
お顔の素地には、貝殻を細かく砕いてつくられる「胡粉(ごふん)」を塗り重ね、なめらかな肌をつくります。
瞳は、書き目ではなくガラス製の義眼で仕上げており、職人の技術が最も問われる工程ながら、お顔づくり一筋の名匠の独自の技術により見事に仕上がり、生き生きとした赤ちゃん顔の美しい瞳のふらここらしいお顔立ちに。
その後、目や眉、口元などを描いていく「面相(めんそう)」の工程へ。
小さなお顔の中では、ほんの少し線の位置や角度が変わるだけでも、表情の印象が変わるので、熟練の職人技が必要です。
かわいらしく、やさしい表情になるように、職人が繊細な筆づかいで、一つひとつ丁寧に描いていきます。
ふらここのお人形ならではの、赤ちゃんのような愛らしいお顔も、こうした細かな手仕事によって生まれています。
髪の毛も一本一本、丁寧に整えて

お顔ができあがったら、次は髪を整えていきます。
髪には絹糸を使い、職人が丁寧に植え込み、形を整えながら結い上げていきます。
前髪の流れや髪のふくらみ、左右のバランスなど、ほんの少しの違いでもお人形の印象は変わるもの。
小さなお顔に似合うように、細かな部分まで確認しながら仕上げられています。
雛人形を見るときには、ぜひお顔だけでなく、美しく整えられた髪にも注目してみてくださいね。
衣装について
ふらここのちいさなサイズのお人形に合うように、専用の衣装を作っていきます。
デザインは、ママさんたちと同世代の女性デザイナーが作っています。伝統を大切にしながらも、ママさんたちに愛されるおしゃれなデザインがふらここの衣装の特徴です。
衣装はいくつか種類がありますが、京都で270年続く織元さんで作られた美しいつやを纏う正絹金襴の生地は、高級感あふれる光沢、繊細な柄で人気の衣装の一つです。
多彩な色目が魅力の繊細な京都の刺繍で仕上げた、京刺繍のお衣装も正絹金襴の生地と並ぶ人気の衣装の種類の一つです。
木目込み雛人形は、布を少しずつ「木目込む」

雛人形には、つくり方によってさまざまな種類があります。
ふらここでも多く取り扱っているのが、「木目込み雛人形」と「衣装着雛人形」です。
まずは、木目込み雛人形のつくり方をご紹介します。
木目込み雛人形は、桐の粉を固めてつくる『桐塑(とうそ)』の胴体に細い溝をつくり、その溝へ布地の端をへらで入れ込んで衣装を表現します。
この、布を溝へ入れ込む作業を「木目込む」といいます。

ふらここの雛人形は、とてもコンパクト。
その小さなボディに合わせて布地を裁断し、しわやたるみが出ないように、少しずつ丁寧に木目込んでいきます。
さらに大切なのが、「柄の見え方」です。
同じ布地を使っていても、どの部分をお人形の正面に持ってくるかによって、印象は大きく変わります。
美しい柄がお人形をより引き立てるように、布の位置を考えながら仕上げていくのも、職人の腕の見せどころです。
ころんと丸みを帯びた、木目込み雛人形ならではのかわいらしい姿。
その美しい仕上がりは、細かな作業の積み重ねによって生まれています。
衣装着雛人形は、小さな着物を一枚ずつ着せ付けて

もうひとつが、「衣装着雛人形」です。
木目込み雛人形が胴体の溝へ布地を木目込んで仕上げるのに対し、衣装着雛人形は、仕立てた衣装をお人形の胴体へ一枚ずつ着せ付けてつくられます。
何枚もの布が重なった美しい袖口や、ふんわりと広がる衣装。
衣装着雛人形ならではの華やかさは、この「着せ付け」の技術によって生まれます。
特に、ふらここの雛人形はとても小さなサイズです。
その小さなお人形に衣装を美しく着せ付けながら、布の重なりや袖の広がり、左右のバランスまで整えるには、非常に繊細な技術が求められます。
正面から見たときの美しさだけでなく、横や後ろ姿を見たときの絶妙なふくらみや衣装の重なりまで考えながら仕上げられています。
衣装着雛人形を見るときには、ぜひ袖口や後ろ姿にも注目してみてください。
小さな中に何色もの布が美しく重なる様子は、思わず近くでじっくり眺めたくなる繊細さです。
木目込みと衣装着、それぞれに違う職人のてしごと
同じ雛人形でも、つくり方によって見た目や魅力は大きく異なります。
木目込み雛人形は、胴体に沿って布を木目込むことで生まれる、ころんとした丸みのある姿が特徴です。
一方の衣装着雛人形は、衣装を一枚ずつ着せ付けることで、布の重なりや広がりを感じられる華やかな姿に仕上がります。
つくり方は違っても、どちらにも共通しているのは、
「小さなところまで、美しく仕上げること」。
完成した雛人形を見ただけでは気づきにくい部分にも、職人の経験と技術が詰まっています。
屏風や小物まで、こだわり抜いて


雛人形の魅力を引き立てているのは、お人形だけではありません。
背景を彩るお屏風や飾り台、雪洞(ぼんぼり)やお道具などの小物にも、職人の手仕事が息づいています。
木を削って形を整えたり、和紙を一枚ずつ丁寧に貼ったり、刺繍や絵柄を施したりと、その工程はさまざま。
小さな飾りの中にも、細かな加工や繊細な仕上げが重ねられています。
ふらここでは、お人形のお顔やお衣装はもちろん、お屏風や小物まで含めて一つの雛飾りとして美しく見えるよう、色合いや素材、全体のコーディネートにもこだわっています。
ぜひお人形だけでなく、そのまわりを彩るお屏風や小物にも目を向けてみてください。
職人のてしごとにも注目したい、おすすめの雛人形
ここからは、職人の細やかな手仕事にもぜひ注目していただきたい、ふらここの雛人形をご紹介します。
木目込みならではの丸みを楽しめる雛人形


商品名:あいあい 京刺繍・花相
奥ゆかしくありながらも芯のある「あいあい」に、立ち姿の美しさを花に例えた芍薬柄のお衣装を着せました。
小さなボディに美しく収まった布地や、柄の見え方にもぜひ注目してみてください。
木目込み雛人形ならではの、すっきりと整った衣装のラインや、やさしい佇まいを楽しめます。
衣装の重なりを楽しめる衣装着雛人形


商品名:れいれい 衣装着・うめ東風
知性感じるフクロウ柄のお衣装は、正絹と金糸を使った滑らかな質感と、程よいツヤ感で高級感があります。
正面から見た華やかさはもちろん、少し角度を変えて眺めると、衣装の重なりや立体感をより感じていただけます。
小さなお人形に一枚ずつ丁寧に着せ付けられた、美しい仕上がりをぜひ間近でご覧ください。
小さなお雛さまに込められた、大きな手仕事

お顔を描く人。
髪を結う人。
衣装を木目込む人。
一枚ずつ衣装を着せ付ける人。
一体の雛人形が完成するまでには、たくさんの職人の手が関わっています。
華やかな完成品だけを見ていると気づきにくいものですが、少し近づいて眺めてみると、その一つひとつに丁寧な仕事を見つけることができます。
初節句から、その先も毎年飾る雛人形。
「かわいい」と感じたその先にある、職人のてしごとにも少し目を向けていただけたら嬉しいです。
ふらここでは、お顔やお衣装、飾り台やお屏風まで、さまざまなデザインの雛人形をご用意しています。
ぜひ、ご家族にぴったりのお雛さまを見つけてくださいね。
1963年東京生まれ。祖父:原米洲(人間国宝)、母:原孝洲(女流人形師)。慶応義塾大学経済学部卒業後、大手出版社・集英社に入社。1987年父親の急逝により、家業である人形専門店に入社。1988年専務取締役就任。2008年に独立して株式会社ふらここを創業。女性活躍推進活動に注力し、2015年に経済産業省『ダイバーシティ経営企業100選』の認定を受ける。
スタッフ全員に光をあてたチーム体制を大切にし、人形業界全体の再興を見据え、「お客様に望まれる商品が多く作られるようになれば、業界も元気が出てくる。その先駆けになるものづくりを進める」ことをモットーとし、日本の美しい文化を次世代に伝えていくことをミッションとする。















