投稿日:2022年9月30日 更新日:2022年9月30日

伝統行事 歴史

「お正月飾り」はいつまで飾る?種類や意味、赤ちゃんの初正月に飾るアイテムもご紹介

お正月に飾る「お正月飾り」は、日本において古くから伝わる伝統文化のひとつです。年始の風物詩として馴染みのあるアイテムですが、「そもそもお正月飾りにはどのような意味があるのか」「いつからいつまで飾るもの?」などと気になっている方もいるかもしれません。

そこで、今回はお正月飾りの種類や意味といった基礎知識を解説するとともに、飾る時期に関する一般的な傾向についてまとめました。

赤ちゃんが初めて迎える「初正月」におすすめのアイテムも併せてご紹介するので、ぜひ参考にしながらお正月飾りの準備を進めてみてください。

まずは「お正月」の概念を改めてチェック

お正月は本来、「年神様(としがみさま)」と呼ばれる神様をお迎えする行事です。年神様とはその年の五穀豊穣を司る農耕の神様で、古くから日本では「年始になると各家庭を訪れて厄をはらい、幸運をもたらしてくれる」といわれています。

近年はお正月というと「新年を迎えたことをお祝いする行事」と認識している方が多く、上記のような本来の意味合いを理解してお正月を迎えている方は少なくなってきている印象です。しかし、お正月飾りを飾ったり、おせちを食べたりと、この時期ならではの風習は多くのご家庭で取り入れられています。

ちなみに、もともとお正月は新年最初の月を指していましたが、現代においては1月全体を「お正月」と呼ぶことは一般的ではありません。1月1日~3日までの「三が日」、7日までの「松の内」、さらには15日までの「小正月」の期間を指すことが多く、なかには1月20日までをお正月とする地域もみられます。

 

「お正月飾り」の種類や意味について

お正月に飾る「お正月飾り」にはさまざまな種類があり、何を飾るのかはお住まいの地域やご家庭によって異なります。ここでは、代表的な3つのお正月飾りとそれぞれの持つ意味について見ていきましょう。

・門松

門松は、年神様に迷うことなく家に来てもらうための目印や、依り代(よりしろ・神様が宿る場所)として玄関付近に飾られます。もともとは松のみを飾る「松飾り」でしたが、時代の流れとともに竹や梅などもプラスされるようになり、現代のスタイルが定着しました。

松は一年中葉が落ちないため生命力の象徴とされており、竹は長寿や繁栄を表すこと、梅は新春に咲くことから、年始にふさわしい縁起物として取り入れられています。

・しめ飾り

しめ飾りとは、神社の鳥居や拝殿などで見かけることの多い「注連縄(しめなわ)」を、神様の降臨を表す「紙垂(しで)」、清廉潔白を表す「裏白(うらじろ)」、家系を譲って絶やさず子孫繁栄を願う「譲り葉(ゆずりは)」などで飾りつけたものです。年神様をお迎えするのにふさわしい神聖な場所であることを示す意味合いがあり、 玄関などの家の入り口や神棚に飾ります。

・鏡餅

鏡餅は年神様へのお供え物であり、神様の依り代としても飾られるお正月飾りです。「三種の神器」のひとつである「八咫鏡(やたのかがみ)」が円形であることから丸いお餅が用いられており、大小の丸いお餅を重ねることで「円満に新たな一年を重ねる」ことが表現されています。

お餅の上には「代々子孫が繁栄しますように」という意味合いを込めて橙(だいだい)を乗せて飾るのが本来のスタイルですが、近年はみかんで代用するケースも多いようです。鏡餅はいくつ飾ってもよいとされており、リビングや玄関など神様が来てほしいところに取り入れます。

 

赤ちゃんの初正月に飾る「破魔弓」や「羽子板」にも注目

赤ちゃんが生まれて初めて迎えるお正月を「初正月」といい、地域によっては盛大にお祝いするところも存在します。初正月には男の子へは「破魔弓(はまゆみ)」、女の子へは「羽子板(はごいた)」を贈る風習があり、リビングなどに飾って赤ちゃんの無病息災を願います。

・男の子の場合:「破魔弓」

破魔弓は、弓と矢を組み合わせた「魔除けのお守り」です。弓矢には邪気を祓う特別な力があるとされており、「たくましく健康に育ってほしい」という願いを込めて飾ります。

・女の子の場合:「羽子板」

羽子板はお正月の定番の遊びである「羽根つき」で羽根をつく道具として有名ですが、鑑賞用の羽子板は「無病息災のお守り」の意味合いを持つ飾り物です。羽子板でつく羽根の玉は「むくろじ」という大木の種で、漢字で「無患子」と書くことから、「子が患(わずら)わないように」との願いを込めて飾るようになったといわれています。

 

お正月飾りを飾り始めるタイミング

お正月飾りを飾るタイミングとしては、「正月事始め」といわれる12月13日以降が適しているとされています。「正月事始め」とは年神様を迎えるための準備を始める日のことで、かつてはこの日に門松に用いる松や、おせち料理を作るために使う薪などを山へ採りにいったものでした。

そのため、基本的には12月13日以降であればいつから飾っても問題ありません。ただし、近年は12月25日まではクリスマスの飾りを取り入れることが多く、お正月飾りは12月26日以降に飾るケースが一般的です。

ちなみに12月29日は「二重苦」を連想させること、さらに12月31日は「一夜飾り」となって 縁起が悪いとされることから、29日と31日に飾り始めるのは避けることをおすすめします。

 

お正月飾りはいつまで飾る?

門松やしめ飾りは、基本的には「松の内」と呼ばれる期間中は飾ったままで構いません。「松の内」とは先述の「正月事始め」から神様がお帰りになるまでの期間のことで、関東や東北などの東日本と九州地方などでは1月7日まで、関西地方では「小正月」と呼ばれる1月15日までとするなど、終わりの時期は地域によって異なる印象です。

一方、鏡餅は「鏡開き」の日まで飾りますが、その日取りも地域によって違いがみられます。北海道・東北・関東・九州などでは1月11日、関西では1月15日または20日、京都とその周辺の一部地域では1月4日に行うことが多いようです。

なお、鏡開きの日が来たらお供えしていた鏡餅を下ろし、お雑煮などに入れていただきます。

 

お正月飾りを取り入れて、気持ちよく新年を迎えましょう

新年に年神様をお迎えし、おもてなしをするための大切な飾り物である「お正月飾り」。それぞれの種類に込められた意味をはじめ、いつからいつまで飾るのかを把握しておくことで、より気持ちよく新年を迎えられるでしょう。

赤ちゃんが誕生して初めてお正月を迎えるご家庭の場合は、破魔矢や羽子板を飾って「初正月」をお祝いするのもおすすめです。ぜひ新年の幸せや健康を願いながら、お好みのお正月飾りを取り入れてみてください。


この記事の監修者
代表取締役 原 英洋

1963年東京生まれ。祖父:原米洲(人間国宝)、母:原孝洲(女流人形師)。慶応義塾大学経済学部卒業後、大手出版社・集英社に入社。1987年父親の急逝により、家業である人形専門店に入社。1988年専務取締役就任。2008年に独立して株式会社ふらここを創業。女性活躍推進活動に注力し、2015年に経済産業省『ダイバーシティ経営企業100選』の認定を受ける。
スタッフ全員に光をあてたチーム体制を大切にし、人形業界全体の再興を見据え、「お客様に望まれる商品が多く作られるようになれば、業界も元気が出てくる。その先駆けになるものづくりを進める」ことをモットーとし、日本の美しい文化を次世代に伝えていくことをミッションとする。

代表取締役 原 英洋