投稿日:2020年11月20日 更新日:2023年8月31日

雛人形

ひな壇二段目の「三人官女」とは?意味や役割、並び順を解説

段飾りの雛人形の中で、男雛・女雛のすぐ下の段に並ぶ「三人官女」。よく観察すると、手に持っているものがひとりひとり異なります。そもそも三人官女とはどのような人形なのか、どのような役割を持っているのか疑問に感じる方もいるのではないでしょうか。

そこで、今回は三人官女に焦点を当て、意味や役割、並び順など基礎知識をまとめました。さらには、可愛らしい表情が魅力的なふらここの三人官女も合わせてご紹介いたします。

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三人官女とは

まず「官女」とは、天皇皇后のお住まいである内裏(だいり)に仕える女性のことです。
平安時代には「女官(にょかん、にょうかん)」と呼ばれていたと考えられますが、明治以降は「女官(じょかん)」という呼び名に統一されました。
「官女」は正式な呼び方ではなかったようですが、雛人形については世間で三人官女として浸透しています。

奈良~平安時代において、律令に定められた官職はほとんど男性で占められていました。その様子は、雛人形のなかで女雛と三人官女のみが女性であることからもうかがえます。
しかし、後宮(皇后や皇女の住まい)が男子禁制であったために、後宮十二司という機関が設けられ、そこに仕える女性の官職が誕生したと言われています。

ちなみに、宮中に仕える女性はほかにもいましたが、女官ではない私的な使用人や家庭教師も多くいました。有名な清少納言や紫式部も官職には就いていなかったようです。
また、鬢を張り出し、黒髪を長く垂らす「大垂髪(おすべらかし)」という髪形は江戸時代後期から宮中に取り入れられましたが、2019年の即位典礼の儀でも、皇后陛下と皇族の女性、お付きの女官が大垂髪を結い上げていました。お人形の三人官女も、宮中において特別な立場にいた女性をモデルにしていることがわかります。

 

三人官女の役割

三人官女のモデルになった、女官やプライベートに雇われた女房の役割は、シンプルに表現するとお内裏様(天皇陛下と皇后陛下)の付き人です。高位の女官は、天皇陛下の職務や祭祀をサポートしていました。その他の女官や女房は、炊事や縫物、皇后陛下や皇女様の身の回りのお世話などを命じられていました。

さらには、教育係としての側面も。女官や女房には貴族の妻や娘が多く、宮中の作法や歌、踊りを教えるなど、さまざまなことをこなす教養高き女性たちであったと言われています。

 

三人官女の持ち物や並び順について

三人一組の三人官女は、ひな壇の二段目に並べて飾ります。それぞれの官女は異なる道具を手に持っており、それらの道具を用いてお内裏様の祝杯を作る様子が表現されています。

三体のお人形を並べる際には、以下でご紹介する基本の並び順に従うとよいでしょう。なお、以下では一般的によく用いられる道具についてご紹介しています。これ以外の道具の並べ方については、雛人形に付属の説明書等をご参照ください。

・向かって左端:「提子(ひさげ)」を持っている官女
提子とは、注ぎ口が付いた小鍋のような形をした金属製の容器のこと。中にはお酒を入れ、向かって右端の官女が持つ長柄銚子(ながえちょうし)に移すための道具とされています。

・中央:「三方(さんぽう)」を持っている官女
三方とは盃を乗せる台のことで、ここでご紹介する3つの道具のなかで最も格が高いものです。そのため最も年上のリーダー的存在である官女が持ち、ひな壇ではこの女性のみ座っているケースが多く見られます。

ちなみに中央の官女だけ眉毛がなくお歯黒の容姿をしていることがありますが、これは彼女が既婚者であることのしるしです。つまり、眉毛があり口の中も黒くない両端の官女は未婚の女性であることがわかります。

・向かって右端:「長柄銚子」を持っている官女
長柄銚子は、提子によって移されたお酒を盃に注ぐための道具です。官女に持たせる際には、注ぎ口が付いているほうを内側にして両手に持たせるスタイルが一般的となっています。

 

ふらここの愛らしい三人官女をご紹介

ふらここの三人官女は、男雛・女雛と同じ文様の衣装を身に着けています。にっこりと微笑む愛らしい表情が何とも可愛らしく、三人官女の存在によってお部屋の雰囲気がさらに明るく感じられるでしょう。

三人官女のみの単品販売も行っているため、親王飾を選ばれた場合でも後からお気軽に付け足していただけます。その際は別売りの中台をご購入いただくと、もともと親王飾で飾っていただいているスペースのまま五人飾にすることができます。

※対応していない種類や、親王飾よりも奥行きが広くなる種類もございます。
ご希望の場合は、付け足す元となる親王飾の関連商品をご確認ください。

●商品名:三人官女 京刺繍・葵に花(MI-01723300)
サイズ:高さ6.5cm(中央)
価格:42,500円(税込46,750円)

https://www.furacoco.co.jp/hina/product/MI-01723300

三人官女についてお子さまと語り合うひとときを

お内裏様のサポート役である三人官女は、いわば現代で言うところのエリートキャリアウーマン。官中において役職を持つ女性ということで、周囲から一目置かれた存在だったことでしょう。今回ご紹介したような意味や役割をお子さまに教えてあげると、雛人形をより一層お楽しみいただけるかもしれません。

ぜひふらここの愛らしい三人官女にも注目しながら、お子さまに最適な雛飾りをお選びください。そして、お気に入りの雛人形とともににぎやかで楽しいひな祭りを演出されてみてはいかがでしょうか。

 

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この記事の監修者
代表取締役 原 英洋

1963年東京生まれ。祖父:原米洲(人間国宝)、母:原孝洲(女流人形師)。慶応義塾大学経済学部卒業後、大手出版社・集英社に入社。1987年父親の急逝により、家業である人形専門店に入社。1988年専務取締役就任。2008年に独立して株式会社ふらここを創業。女性活躍推進活動に注力し、2015年に経済産業省『ダイバーシティ経営企業100選』の認定を受ける。
スタッフ全員に光をあてたチーム体制を大切にし、人形業界全体の再興を見据え、「お客様に望まれる商品が多く作られるようになれば、業界も元気が出てくる。その先駆けになるものづくりを進める」ことをモットーとし、日本の美しい文化を次世代に伝えていくことをミッションとする。

代表取締役 原 英洋