投稿日:2021年9月30日 更新日:2023年8月31日

雛人形 ひな祭り 歴史

幻の雛人形・御殿飾りとは?特徴や歴史、観覧できる施設をご紹介

豪華な雛人形と言えば、「十人飾」や「十五人飾」といった段飾りをイメージされる方が多いかもしれません。しかし、実はさらに豪華な「御殿飾り」と呼ばれる雛人形があり、圧倒的な存在感や豪華さ、繊細さを楽しめることからファンも多く存在します。

今回はそんな「御殿飾り」に注目し、特徴や歴史についてまとめました。さらには観覧可能な施設の情報もご紹介するので、ぜひ実際にご覧になって現代の雛人形と比較してみてはいかがでしょうか。

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御殿飾りとは、平安時代における京都の寝殿(天皇が居住していた宮殿)を模した雛飾りのことです。江戸時代後期から昭和にかけてつくられ、特に明治・大正時代頃に京都を中心とした関西地方で多く取り入れられていました。(その頃の関東地方では「段飾り」が主流)

御殿飾りのスタイルは、京の御所をモチーフとした「御殿」のなかに天皇皇后を模した内裏雛(男雛と女雛)を配置し、官女や仕丁、随身(右大臣と左大臣)といったお人形を添えて飾るというもの。現代のドールハウスのような雰囲気で、華やかな貴族の生活がジオラマのように細かく表現されています。

つくられ始めた当初の御殿は屋根がなく、お人形も簡素なつくりのものが多く見られました。しかし、明治・大正時代には屋根付きの御殿が出現するなど、豪華さや繊細さが追求されるようになります。

その後戦争を機に御殿飾りは一時姿を消したものの、復興し始めた昭和中期頃に復活。戦前に多く見られた落ち着きのあるテイストとは大きく異なり、金具で華やかに装飾されたきらびやかなタイプが流行しました。

 

御殿飾りが姿を消した理由とは

一時は西日本において人気を集めていた御殿飾りですが、昭和30年代後半に入るとほとんど見られなくなります。当時関東で流行していた「段飾り」が勢力を強めていき、それに押される形で姿を消していきました。

御殿飾りが衰退した主な理由としては、複雑なつくりのため家庭での取り扱いが難しいこと、収納が不便であることなどが挙げられます。また、メーカーが雛人形をパーツごとに分業して制作するようになったことで量産も可能となり、制作や販売に手間のかかる御殿作りを取り扱うところが少なくなっていったことも大きな要因です。

現在は、御殿飾りを販売しているメーカーはほとんど見られません。一般的に見かける機会も少ないですが、なかには博物館のような施設のなかで御殿飾りを常時、あるいは期間限定で展示しているところも存在します。

 

一見の価値あり!御殿飾りを観覧できる希少な施設をご紹介

ここでは、御殿飾りを楽しめる博物館を2ヶ所ピックアップいたしました。いまではほとんど見られない幻の御殿飾りを、ぜひ一度ご観覧されてみてはいかがでしょうか。

・日本玩具博物館(兵庫県姫路市)

JR播但線・香呂駅から徒歩15分ほどのところに位置する、「日本玩具博物館」。日本や世界の玩具を9万点以上展示している施設で、雛人形コレクションにおいては幕末から昭和30年代ごろまでの約1000組を収蔵しています。

御殿飾りは常設展示室にて常時観覧できるほか、桃の節句が近づく2月頃には特別展示室でも楽しめます。さまざまな様式の御殿飾りが時代ごとに紹介されているので、ぜひ多彩な御殿飾りの世界をご堪能ください。

※展示・イベントに関する最新の情報は公式サイトにてご確認ください。

住所 〒679-2143 兵庫県姫路市香寺町中仁野671-3
電話番号 079-232-4388
入館料 一般:600円
高校生・大学生:400円
子ども(4歳以上):200円
※団体割引あり
公式サイト https://japan-toy-museum.org/

・山﨑記念 中野区立歴史民俗資料館(東京都)

西武新宿線・沼袋駅北口より徒歩8分ほどの場所にある、「山﨑記念 中野区立歴史民俗資料館」。地域の文化遺産を収蔵・展示している博物館で、毎年2月~3月頃には展示室で『おひなさま展』を開催しています。

具体的な展示内容は年ごとに異なりますが、たとえば2021年2月~3月の開催時には御殿飾りが展示され、球体関節人形「中野大好きナカノさん」とのコラボレーションが話題となりました。都内随一の規模を誇る雛人形展に、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。

※企画展の内容によっては御殿飾りが展示されない場合もございます。最新の情報は公式サイトやTwitter、Facebookなどでご確認ください。

住所 〒165-0022東京都中野区江古田4-3-4
電話番号 03-3319-9221
入館料 無料
公式サイト https://www.city.tokyo-nakano.lg.jp/dept/211500/d029693.html
Facebook https://www.facebook.com/nakanorekimin
Twitter https://twitter.com/nakano_rekimin

 

「御殿飾り」に注目し、一味違った雛祭りを楽しみましょう

雛祭りシーズンにはお子さまの雛人形を飾ってお祝いするご家庭が多いですが、お子さまと一緒に「御殿飾り」を観覧するのも素敵な過ごし方です。その際は現代の雛人形との違いだけでなく、御殿での生活感や宮中の人々の様子、そして時代とともに変化する御殿飾りの様式にも目を向けると、御殿飾りの魅力をより一層お楽しみいただけるでしょう。

ご家庭で御殿飾りを取り入れることはなかなか難しいですが、近年ではコンパクトながらも豪華さや繊細さを楽しめる雛飾りが多く販売されています。ふらここでも上質で華やかな雛人形を種類豊富にご用意しておりますので、雛人形のご購入を検討されている方はぜひチェックしてみてください。

ふらここの雛人形ラインナップはこちら>

※今回ご紹介した施設の情報は2023年7月時点のものです。

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この記事の監修者
代表取締役 原 英洋

1963年東京生まれ。祖父:原米洲(人間国宝)、母:原孝洲(女流人形師)。慶応義塾大学経済学部卒業後、大手出版社・集英社に入社。1987年父親の急逝により、家業である人形専門店に入社。1988年専務取締役就任。2008年に独立して株式会社ふらここを創業。女性活躍推進活動に注力し、2015年に経済産業省『ダイバーシティ経営企業100選』の認定を受ける。
スタッフ全員に光をあてたチーム体制を大切にし、人形業界全体の再興を見据え、「お客様に望まれる商品が多く作られるようになれば、業界も元気が出てくる。その先駆けになるものづくりを進める」ことをモットーとし、日本の美しい文化を次世代に伝えていくことをミッションとする。

代表取締役 原 英洋