投稿日:2023年12月25日 更新日:2023年12月25日

雛人形 ひな祭り

衣装着人形の特徴とは?雛人形の種類と制作工程を詳しく解説!

雛人形には、つくり方が異なる「衣装着人形」と「木目込み人形」と呼ばれる2種類のお人形があるのをご存じでしょうか?

実際の十二単に近い仕立て方で、高級感があり華やかな見た目の衣装着人形。
丸みを帯びた、温かく可愛らしい印象の木目込み人形。

それぞれに異なる魅力がありますが、どちらも古くから受け継がれている伝統的なお人形です。とはいえ、実際に雛人形を選ぼうとすると、なんとなく見た目の違いは分かるけれど、衣装着人形と木目込み人形の特徴がわからず選びづらいと感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

今回は、衣装着人形と木目込み人形の制作工程から、その違いや特徴を詳しくご説明します。


この記事では、

・お人形の種類(木目込み人形/衣装着人形)ごとの特徴
・雛人形がどのようにしてつくられているのか
・雛人形の種類に悩んだ時の選び方

をお伝えします。

特徴や制作工程を知ることで、お人形への理解が深まり、より好みに合った雛人形が選びやすくなるでしょう。

ふらここのおすすめ衣装着人形も厳選してご紹介いたしますので、雛人形選びに悩んでいる方はぜひ最後までご覧ください。

衣装着人形ってどんなお人形?

節句人形の職人がつくる雛人形には「衣装着人形」と「木目込み人形」の大きく2種類があります。
まずは「衣装着人形」と「木目込み人形」がどんなお人形なのか、その制作工程とあわせて詳しく解説していきます。

■衣装着人形とは

平安時代の貴族女性の正装である「十二単(じゅうにひとえ)」を模して、お衣装を縫製しお人形に着せ付けているのが「衣装着人形」です。

本物の十二単を可能な限り再現できるよう、袴(はかま)を履かせ、単(ひとえ)や五衣(いつつぎぬ)と呼ばれる着物を何枚も重ね着し、腰に巻く“裳(も)”と 羽織りの“唐衣(からぎぬ)”をまとわせています。

■衣装着人形の制作工程

衣装着人形の制作工程は、大きく分けて3つあります。

①お衣装を作る
②お衣装を着せるボディを作る
③腕の角度調整をし、頭を取り付ける

それでは、順に見ていきましょう。

①お衣装を作る

衣装着のお衣装をつくるには、お人形の大きさに合わせて作成した型紙に沿って布地を裁断し、ミシンで縫製してお着物を仕立てます。

衣装着人形は使う布が多いため、サイズが小さくなればなるほど、本物の十二単に近い縫製で作るのは難しくなります。
できるだけ簡略化しない作りで、なおかつ美しく仕上げられるかどうかは、職人の腕次第。

衣装着人形を選ぶときは、縫製の美しさや重ねている布地の枚数などで、職人の腕の良さがわかります。

袖や裾の部分は、お衣装の重なりが魅せどころです。

ふらここの衣装着人形職人によると、

小さければ小さいほど重なりのズレが目立ちやすく、縫製も難しくなります。

美しく見えるように角をしっかりと揃え、色のグラデーションが綺麗になるようにバランスを見ながら、お着物を重ねていきます。

制作工程の中で、最も神経を使うところです。

実際、十二単の何枚も重ねて着せ付けるお着物は“五衣(いつつぎぬ)”と総称され、宮中の女性貴族の間では季節や花の名がつけられた五衣の配色パターン「襲の色目(かさねのいろめ)」を楽しむ文化が盛んだったとか。現代でいうファッションコーディネートと似たような感覚で、重ね着を楽しんでいたのですね。

②お衣装を着せるボディを作る

縫製したお衣装を着せ付けるためには、お人形のボディが必要になります。
木材や藁でできた胴体の芯に、腕に見立てた針金を刺して袴や小袖(こそで)と呼ばれる肌着を着せます。

お人形のボディに①で仕立てた五衣を着せ、さらに裳や唐衣と呼ばれる装束を順番に着せ付けていきます。

③腕の角度調整をし、頭を取り付ける

仕上げにお人形の腕となる部分を折り曲げて関節をつくり、雛人形らしいポーズにします。

ふらここのように衣装着人形は小さければ小さいサイズであるほど、腕を曲げるために力が必要となります。
重ねるお着物の枚数を減らさずに、かつ着崩れしないようバランスよく仕上げるには、職人の熟練した技巧が試されるのです。

最後に女雛の頭をボディに取り付けて衣装着人形が完成します。

■木目込み人形とは

粉状にした桐材に糊を混ぜて成形したボディに、筋を彫りこんでお衣装の布地をあてがい、
ヘラを使って筋に布地を食い込ませるようにして着せ付けるものが「木目込み人形」です。

布地を筋に食い込ませる作業を「木目込む」と呼ぶところから、この名前が付けられました。

衣装着人形と比べ、お人形のボディそのものの形を自由につくることができるため、手のひらに収まるくらい小さいサイズのお人形も容易にできます。
また、十二単をデフォルメした表現が多種多様で、デザイン性が高いことが特徴です。

■木目込み人形の制作工程

木目込み人形の制作工程は、大きく分けて3つあります。

①型を使ってボディを作る
②ボディに筋を彫る
③布地を木目込んで衣装を着せ付ける

それでは、順に見ていきましょう。

①型を使ってボディを作る

ボディの型に、桐塑(とうそ:粉状にした桐材と糊を混ぜて粘土状にした素材)を詰め、
崩れないようにそっと型から外して5日間乾燥させます。

乾燥させたボディの形状を整えます。
余分な出っ張りをヤスリで削ったり、欠けや凹みのある部分には桐塑を付け足して補修したりして、表面をなめらかに仕上げます。

お衣装の色味がよく映えるように、仕上げにボディの表面に胡粉(ごふん:蛤(はまぐり)等の貝殻を細かく砕いたもの)を塗ります。

②ボディに筋を彫る

桐塑のボディを電動工具の刃に押し当て、お衣装の布地を木目込むための筋を彫ります。

ふらここのボディをつくる職人によると、

高速で回転する刃にボディを押し当てるとき、動力でボディに負荷がかかります。

なのでボディをしっかり手に持たなくてはなりませんが、ふらここのボディは小さいので
ボディを動かしていくと手と刃が近づいてしまい、指をケガするリスクが高まります。

小さくて丸みのあるふらここのボディは、緊張感のある現場から生まれているのですね。

③布地を木目込んで衣装を着せ付ける

彫った筋にヘラを使ってお衣装の布地を押し込み、着せ付けていきます。

刺繍などの柄が入る唐衣は左右対称に見えるようにお衣装の布地をボディに押さえつけながら木目込みますが、凹凸のあるボディに布地をピンと張り弛まないようにつくるには熟練した職人の技術が試されます。

衣装着人形の説明や、木目込み人形の特徴を詳しくご紹介している下記のコラムも併せてご覧ください。

雛人形の着物。「衣装着人形」と「木目込み人形」の違いや人気商品もご紹介!

素朴でかわいい「木目込み雛人形」が人気!注目したい特徴や魅力、ふらここのおすすめラインナップをご紹介

悩む!衣装着人形と木目込み人形のどちらにしよう・・・?

衣装着人形と木目込み人形は作り方が異なる雛人形ですが、どちらも江戸時代からつくられてきた
伝統的なお人形ですので、意味合いの違いや優劣は特にありません。

どちらの雛人形を購入するかで迷ったときは、仕立ての違いから感じられる風合いの好みで検討するのがよいでしょう。

衣装着人形はこんな方にオススメ:

・重厚感や高級感がある人形が好きな方
・より写真映えする人形がほしい方

一般的に「雛人形」というと、まず衣装着人形を思い浮かべることが多いと思います。ご自身で持っていた雛人形は衣装着人形だった、という方も多いのではないでしょうか。
衣装着人形は「みんながイメージするひな人形」としての親しみやすさがありながらも、実際の十二単に近い着付け方で仕立てるため重厚感や高級感を感じやすいつくりになっています
見た目も豪華で華やかさですので、写真映えする人形がほしい方には衣装着人形がおすすめです。

木目込み人形はこんな方にオススメ:

・可愛らしく温かみのある雰囲気のお人形がほしい方
・オリジナリティの高いひな人形がお好きな方

木目込み人形は衣装着人形に比べ小さめで、丸みを帯びた柔らかさを感じる形状のものが多くなっています。
また、その形状から、幼い子どものようなふっくらと丸いお顔立ちと合わせやすく、可愛らしさや温かみがあるお人形が多いのが特徴的です。

一般的によく見る日本人形タイプの雛人形ではなく、可愛らしい雰囲気の雛人形がほしいという方には、木目込み人形が向いているでしょう。

制作工程から、お人形のデザインに職人のオリジナリティを反映しやすいのも、木目込み人形です。
職人の趣向を凝らしたデザイン性の高い雛人形がお好みの方は、木目込み人形を中心に探してみるのがオススメです。

ふらここのおすすめ衣装着人形をご紹介

れいれい 衣装着・うめ東風

商品名:れいれい 衣装着・うめ東風(RE-05160000)
サイズ(飾り付け時):横幅40×奥行19×高さ25cm

価格:126,000円(税込138,600円)

~おすすめポイント~

名工人形作家・平安 芳峰(へいあん よしほう)によって仕立てられた十二単が何とも美しい、衣装着タイプの親王飾です。
正絹と金糸を用いた生地にはなめらかな質感とほどよいツヤ感があり、本物志向の方におすすめしたい逸品です。

https://www.furacoco.co.jp/hina/product/RE-05160000

まいまい 衣装着 装飾刺繍・桜の詩・だいだい色

商品名:まいまい 衣装着 装飾刺繍・桜の詩・だいだい色(MI-07150301)
サイズ(飾り付け時):横幅38×奥行23×高さ25cm
価格:99,500円(税込109,450円)

~おすすめポイント~

ふらここでは数少ない立雛の衣装着人形です。
お衣装には桜柄の刺繍があしらわれ、お屏風にほどこされた桜の切り紙細工とも相性のよい雛人形です。
お好みで花飾りや雪洞を付け足してお飾りいただくのもおすすめです。

https://www.furacoco.co.jp/hina/product/MI-07150301

ことこと 衣装着・鳳凰の幸(ケース入)

商品名:ことこと 衣装着・鳳凰の幸(ケース入)(CT-08241000)
サイズ(飾り付け時):横幅45.5×奥行29.5×高さ27.5cm
価格:153,000円(税込168,300円)

~おすすめポイント~

お衣装には平安時代より天皇のご装束に用いられてきた、由緒ある「桐竹鳳凰文」をあしらいました。
場所を取らないコンパクトなガラスケースの中に三人官女も揃ってお飾りいただけます。

https://www.furacoco.co.jp/hina/product/CT-08241000

ほのほの 衣装着・手まり尽くし・紅色

商品名:ほのほの 衣装着・手まり尽くし・紅色(HN-11223901)
サイズ(飾り付け時):横幅42×奥行27×高さ32cm
価格:153,000円(168,300円)

~おすすめポイント~

可愛らしい手まり柄のお衣装を着た、明るくて優しさあふれる「ほのほの」の雛人形。
手まりの絵柄は、“大変なことも丸く収まるように”との願いを込めて、古くから産着や婚礼衣装に用いられてきた伝統柄です。

https://www.furacoco.co.jp/hina/product/HN-11223901

れいれい 衣装着・チューリップ

商品名:れいれい 衣装着・チューリップ(RE-11290400)
サイズ(飾り付け時):横幅42×奥行28.5×高さ29.5cm
価格:165,500(税込182,050円)

~おすすめポイント~

温かく優しさあふれる「れいれい」に、可愛いチューリップ柄のお衣装を着せました。
チューリップの花言葉は「思いやり」。
そんなチューリップ柄に“優しく思いやりのある子に育ってほしい”と願う親の想いを込めました。

https://www.furacoco.co.jp/hina/product/RE-11290400

衣装着人形の特徴を知って、雛人形選びを楽しみましょう

伝統的な技法で職人がひとつひとつ衣装着人形を制作していることを知ると、雛人形の見え方が変わりお子さまのためにこだわりの雛人形を選んであげたくなることでしょう。

衣装着人形も木目込み人形も豊富に取り揃えているふらここでは、お顔とぴったり合うようにお衣装をオリジナルでデザインしているので、お人形の作り込みやお衣装のコーディネートにも是非ご注目ください。

ふらここ 衣装着人形のラインナップはこちら!>

魅力的な雛人形がほかにもたくさん♪ふらここの商品一覧を見る>


この記事の監修者
代表取締役 原 英洋

1963年東京生まれ。祖父:原米洲(人間国宝)、母:原孝洲(女流人形師)。慶応義塾大学経済学部卒業後、大手出版社・集英社に入社。1987年父親の急逝により、家業である人形専門店に入社。1988年専務取締役就任。2008年に独立して株式会社ふらここを創業。女性活躍推進活動に注力し、2015年に経済産業省『ダイバーシティ経営企業100選』の認定を受ける。
スタッフ全員に光をあてたチーム体制を大切にし、人形業界全体の再興を見据え、「お客様に望まれる商品が多く作られるようになれば、業界も元気が出てくる。その先駆けになるものづくりを進める」ことをモットーとし、日本の美しい文化を次世代に伝えていくことをミッションとする。

代表取締役 原 英洋